[SIF対談]
第二弾:曽我部恵一 × 星野 源(SAKEROCK)
2010.06.15 Tue
曽我部恵一BANDとして全国各地を飛び回るだけでなく、10年ぶりに復活したサニーデイ・サービスや、ソロの弾き語りなど止まることを知らない表現欲をみせる、曽我部恵一。
SAKEROCKはもちろん、俳優、文筆、映像制作という八面六臂の活躍ぶりに加え、6月23日には初のソロ・アルバム『ばかのうた』をリリースする、星野 源。
ともに音楽の中に、生活の風景や、浮かんでは消えゆく人々の想いを鮮やかに描いていくソングライターである二人が、初めてじっくりと語り合った。
構成/宮内 健(ramblin') 撮影/小原泰広
曽我部 | この間、SAKEROCKとは"ザンジバルナイト"と"Springfields"と、続けてイベント一緒だったんだよね。 最近のライヴを2本立て続けに観て、すごくいいなぁと思って。 |
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星野 | ありがとうございます。恐縮です(笑)。 |
曽我部 | 以前に観たライヴと、またちょっと印象違ってて。 バンドのまとまり具合がすごいんだよね。 なんかハードコアっていうか、アメリカ中をひたすらツアーしてるバンドのような......そんな雰囲気を感じたんすよね。 |
星野 | どさまわりしてる感じですかね? |
曽我部 | そう、どさまわりしてる感あるね(笑)。 SAKEROCKは、年間どのくらいライヴやってるんですか? |
星野 | いや、そんなにやってないんですよ。月に1本ぐらいで。僕のほうが芝居が入ると3カ月ぐらい何も出来なくなってしまうので、すぐに間が空いたりして。 |
曽我部 | その間は特に練習とかもしないの? |
星野 | あまりないです。メンバーそれぞれ違うバンドがあるんで、そっちをやっていたり。 みんなとはSAKEROCK以外ではほぼ会わないんです。 それぞれちょうどよい距離感があって......飲み行ったりとかもしないし。 でも、そうしてると、久しぶりに会った時に、やっぱり楽しいし、ものすごく仲がいい(笑)。 曽我部恵一BANDのみなさんとは普段どんな感じなんですか? |
曽我部 | いや、普段はそんな会わないっすよ、もちろん(笑)。 |
星野 | 昔の雑誌とかで、いろんな人のインタビューとか読んだりすると、飲み行ってあいつが暴れてどうのこうの、みたいなことがよく書いてあって。 バンドやる人は、そういうのしなきゃいけないのかなって。 |
曽我部 | まあ、そういう時期もありますけどね(笑)。 |
星野 | そういうの読むたび「無理だー」と落ち込んでたんですけど(笑)、気持ちが少し楽になりました。 でも、曽我部恵一BANDっていうと、密度がすごい濃いじゃないですか? なんていうか、飲み会とかでとにかく近くなろうとかいうんじゃなくて、ライヴをすることでバンドを固めるっていう感じなんですか? |
曽我部 | だから打ち上げないんすよ、ウチら。 |
星野 | ホントですか? それは素晴らしい!(笑)。 |
曽我部 | ほとんどないよ。ツアー行っても打ち上げないし。 |
星野 | 僕が俳優として所属してる大人計画も、そんなに群れない人たちなんです。 関わるのも仕事してるときだけっていう、それがすごい心地よくって。 僕がお酒全然飲めないっていうのもあって。 「なんで飲まねぇんだよ!」とか「演劇論語り合おうぜ!」みたいなのが苦手なんですけど、そういう人が大人計画にはいないんですよ。 |
曽我部 | まあ、ありますよね。そういう男くさい世界観(笑)。 |
星野 | そういうの、なくていいんだって、今思いました。 曽我部恵一BANDのあの濃密さで、打ち上げがないっていうのが、すごい衝撃的(笑)。 |
曽我部 | ツアーやってるともう、打ち上げれないっていうかね。疲労で(笑)。 まぁバンドって、とにかくライヴを重ねて濃くなってって、良くなっていくしかないなぁっていうのはありますね。 客が全然いない状況とか体験して、そういう時にどう感じたか、みんなわかってやってるから。 |
星野 | 今でも、自分たちのこと知ってる人たちがあまりいないアウェーな状況になると、スイッチが入る瞬間があって。 やっぱりそれは、客が全然いない時の経験や下積みみたいなのがあるからなんだろうなって思います。 |
曽我部 | おれらもアウェーの方がすごいね、なぜか。 あるバンドのゲストとかで、ほとんどのお客さんがそのバンドのファンだったりする前で演る時とか、一番いいシチュエーションですね。 |
星野 | 燃え上がりますね(笑)。 そういう状況を面白がれるっていうのは、やっぱバンドのいいところですね。 |
曽我部 | SAKEROCKもそういう意味では、すごいバンド感ありますよ。 |
星野 | 最近だんだんバンド感が出てきた感じがします。 |
曽我部 | やっぱり、みんなの各々の音楽的な活動の幅が広がって、そこでバンドに戻ると、パワーがアップしてるんだと思うんですよね。 ステージも魅せるなぁって思うし。もう海外だろうが、どんなデカいとこでも出来ますよね。 |
星野 | でも、最初のフジロックとか、そういう大きいステージ出させてもらえるようになった時は、なんか怖くて。 その時はみんな前向いてたんですよ。 ハマケンが真ん中にいて。で、それより少し後ろにみんないるっていうセッティングだったんです。 だけど、それを半円状の並びにして、みんなが向き合うように、なるべく近くでやるようにしたんですよ。 どんな大きい会場でもそういうセッティングにしたら、面白くなってきちゃって。大きい会場で、あの小っちゃい音でやるみたいなことがすごい楽しくて。そういう方が、より伝わったりするんだなぁって。 |
曽我部 | すごくわかる。 曽我部恵一BANDも、ホントにどんなデカいとこでもほんとにもう、申し訳ないぐらいみんなギュッって寄っちゃってる(笑)。 ステージに空いてるスペースあるのに(笑)。 |
星野 | それ、すごく大事ですよね。 |
曽我部 | どこ行っても一緒なんですよ。 一番狭いライヴハウスのサイズでやっちゃってるから。それをスピーカーでどれくらい大きくして表現するかだけなんだよね。 でも、ステージの真ん中でギュッって寄ってる感じが、まさに"音楽"っていう感じで。 |
星野 | あれ、楽しいですよね。これでいいんだ、って。 |
曽我部 | そう。ショウじゃなくてもいいんだってね。 |
*つづきは、近日リリース予定のiPhone用Appzine(アプリで読む雑誌)『ramblin'』下北沢インディーファンクラブ特集に掲載されます。お楽しみに!
曽我部恵一 |
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星野 源 |
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