[レポート]

Live Report vol.2

2010.07.25 Sun

 下北沢に降り立つとすでに同じ目的の人間だらけ。前売も当日券も売り切れしまったため「チケット譲ってください!」と呼びかける人もちらほら。

 まずはじめはグッドラックヘイワ。鍵盤とドラムの二人だけで構成されたインストバンドだが、SHELTERというハコも手伝ったのか、演奏がダイナミック。様々なジャンルを飲み込んだ変幻自在のメロディに、日本刀のように切れ味抜群のドラムが乗っかる。アイコンタクトで進むスリリングな演奏と、素朴なMCとのギャップに、溢れかえったフロアは魅了されていった。

 その後いくつかのアーティストを覗きつつ、神聖かまってちゃん。Gardenに入場しようとする大行列は、世間を賑わしている証拠。演奏については、こもって輪郭のないギターとエフェクトのかかったヴォーカルではっきりとは聴き取れなかったが、「目が離せない!」ということが体験して分かった。雑談が多くグダグダではあったが、演奏している姿だけでなく、佇まいや言動、トータルであの世界観が成立していた。天性というより、"天然物"だった。

 再びいろんなアーティストのライヴを点々と回る。こうしてライヴハウスを回っているうちに、下北沢という街の特異性が見えてくる。音楽をはじめ、さまざまな文化があちこちで溢れている。なんとも不思議な街だ。

 夕方、ERAで見たのは関西のベースレスバンド、ワッツーシゾンビ。ライヴがはじまると最初からフルテンションで突っ走り、客は大歓声。最終的にはドラムセットを満員のフロアへ強引に持ち込み、そしてそのまま再度演奏スタート。他のメンバーも次々フロアに降りてくる。フロアがあっという間にステージに。これにはかなり興奮。「これがワッツーシゾンビや!」と宣言する姿に痺れた。

 ラストはBasement Barでサイプレス上野とロベルト吉野。スイカを手に登場したサイプレス上野がひたすら盛り上げる。この人達のヒップホップ界の貢献度は底知れない。ヒップホップマナーに親しみのない自分でも、素直に盛り上がることができる。どんな空間でも強引に流れを作る底力は、とにかく間口が広い。後半はZZ PRODUCTIONの面々が乱入し、さらにヒートアップ。

 しかし途中で、他会場の様子はどんなもんなのかとTwitterを覗いてみると、「Scoobie Do、まだ入れるよ!」という情報を入手。「お前ら、ここから出さないぞ!」と煽るサイプレス上野を横目に、すいません!と心のなかで謝り倒しつつ会場を後にし、251へ。本編ラスト2曲+アンコールの『夕焼けのメロディ』を見ることに成功。興奮しきったフロアに向けプロレスLOVEコヤマシュウが猪木よろしくご唱和させてライヴは終了。

 これで終わりかな、などと考えつつ再びTwitterを眺めてみると、今度は「SAKEROCKが入れなかった人のために2回目のライヴをやってる!」という情報。急いでSHELTERへ。そこには、ライヴが始まっても諦めきれずに待っていた人たちに向け、客を入れ替えてもう一度演奏するメンバーの姿。今日ばかりはお客の盛り上がりと相乗効果で、「癒し系」などと評されがちな彼らもSAKEROCKらしからぬROCK!の様相。疲れのためか若干荒れた演奏ではあったが、それが逆に感動で涙すら誘ったのだった。

 初めて行うイベントなのにチケットが完売してしまい、運営の予想を超えてしまったためか、入場規制が多かったのは印象深い。しかし、自分で決めたタイムテーブルが当日になって崩れていくなんていうのは、フェスでは誰しもが体験している「あるある」だ。こういうときこそ初見のものへ積極的に出向き新たな発見をするのが、ライヴサーキットの醍醐味。初年度だからこそ改善点もたくさんあるかもしれないが、新たな音楽に出会うきっかけとして、是非とも継続してほしいと思う。

文/seppaku
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