[SIF対談]

第三弾:YOUR SONG IS GOOD × SCOOBIE DO

2010.06.27 Sun

今年結成15周年を迎えますます純粋に、そして奔放にバンド道を突き進むスクービードゥー(コヤマシュウ、マツキタイジロウ、ナガイケジョー、オカモト"MOBY"タクヤ)。先日初の野音ワンマンを成功させ、バンドとしての新たなステップを昇ったYOUR SONG IS GOOD(サイトウ"JxJx"ジュン、ヨシザワ"モーリス"マサトモ)。ファンクの絆で結ばれたタイトゥンアップな二組が、ざっくばらん語りあったクロストーク!

構成/宮内 健(ramblin') 撮影/相澤心也

「Tighten Up」は 原曲超え出来ない、発明品。
JxJx 俺が最初にスクービードゥーのことを知ったのは、バリカク(カクバリズム 角張 渉)の部屋なんですよ。あいつの部屋に転がってたCDのケースが割れててね。
コヤマ それ、いいのか悪いのかわかんないな。聴きすぎて割れたのか、ただ踏んづけちゃって割れたのか(笑)。
JxJx (笑)それは本人に確認しないとですね。でもそこで、こういうバンドがいるんすよって聴かせてもらったんで、たぶんよく聴いてたんだと思います。インディーのファーストでしたね、たしか(『DOIN' OUR SCOOBIE』・1999年)。割れてましたよ、ケースが(笑)。
コヤマ ちょっとそこは角張に問いただしたい! 回答次第によっちゃ、下北沢インディーファンクラブに出ないってことも考えられなくもないから(笑)。
マツキ 俺らがユアソンを知ったきっかけは、当時のエンジニアから、インディーで出した黄色いジャケの(『COME ON』・2002年)CDを聴かせてもらったのが最初かな。その後わりとすぐに、RAW LIFEで一緒になったんだよね。
MOBY 2004年の、1回目のRAW LIFEですね。
モーリス 初めてRAW LIFEでライヴを観た時に、盛り上げるバンドだなぁ!っていうのが印象に残ってて。ウチらもわりとそういう毛色のバンドなんで。その時、スクービーが「Tighten Up」やっててウォーッ!って盛り上がって。ウチらもその当時は、「Tighten Up」的な曲を作るっていうのがテーマだったから。
MOBY JxJxがやってた連載コラムのタイトルも、「四の五の言わずにタイトゥン・アップ!」だったもんね(笑)。
コヤマ

俺らもRAW LIFEで初めてユアソンのライヴを観て、音源聴いた時のイメージとライヴの印象が結構真逆だったっていうか。最初に音源聴いた時は、渋谷系の延長みたいな、ものすごく趣味のいい方々なんだろうなって思ったんだけど。でも、RAW LIFEの会場に着いたらちょうどユアソンがやってて、二日目の朝だからすでに死んでる客とかもたくさんいて、みんながゾンビ化してる中に、ユアソンとユアソン観てる客だけがはしゃいでいる、と(笑)。

モーリス うわーっって、砂埃が舞っててね。
コヤマ そうそう。まるでゴーストタウンで祭りが行われているような、あの印象がすごく強いんだよね。まったく世間と関係ない感じというか、世捨て人な感じというか(笑)。そのあとオーサカ=モノレール観たら、もっと世捨て人だった(笑)。でまあ、そこでユアソン観て、ライヴすげぇんだ?っていう記憶があるね。
── さっき曲名が出てきましたけど、「Tighten Up」って曲は、スクービーとYSIGをつなぐキーワードのような気がするんですが。
マツキ うん、それはたしかにそうですね。
モーリス スクービーにイベント呼んでもらって対バンした時も、「Tighten Up」を一緒にやったからね。
── 一時期、YSIGの取材をしてると、よく「Tighten Up」の話題が出てきてましたよね。
JxJx そうっすね。「Tighten Up」って曲が持ってるあの感じを自らやるっていうのに、ヘンな意義を感じてたんですよね。それって何かを問いつめたことはなかったけど。ただ、あのカッコよさにやられてるかどうか?ってところで言えば、両バンドともやられているバンドですよね。
MOBY だからこそもっとも信頼できるところでもあるしね。絶対に間違いない。
モーリス ウチらは、あれを伝統芸能だと捉えてたワケですよ。俺が最初に聴いたのは、YMOヴァージョンだったけど。で、いろいろ聴いていくと、あの形式をやってるバンドが結構多いんだって気付いてね。あのコード感だったり、あのノリだったりね。いろんな人たち「Tighten Up」的なものを残してきたから、俺らも2000年代にひとつ残そうっていう話はしてましたね。
コヤマ 俺らはそこまで深く考えてなかったけどね。便利だからいいやって(笑)。
一同 (爆笑)
マツキ 演奏してる立場から言えば、何も考えなくていいからね(笑)。
MOBY うん。みんな知ってるし、どの曲にもつなげられるからね。
マツキ ダンスの要素もあり、ベースラインも効いてるし......。
モーリス ブレイクでベース入ってきて、カッティングも入ってきて......っていう機能美ね。
コヤマ やっぱ、発明品だな!って思うよね。ストーンズの「(I can't get no)Satisfation」のリフなんかと同じで、超えようと思っちゃダメなんだよね。
ナガイケ あのタイプの曲で、超えてる曲ないですからね。
JxJx ないっすね、たしかに(笑)。
コヤマ そう、だから「Tighten Up」はやっぱり発明なんだよ。
みんなで一斉に別方向へ 突っ走ってるような潔さ
JxJx

スクービーと深く知り合ってから、下北沢のCLUB Queで対バンで呼んでもらった時に思ったことなんだけど......たとえばさっきの「Tighten Up」っていう軸があるとしたら、それ以外のものに対する許容範囲が、僕が思ってる以上にスクービーのみんなは広かったってのを対バンした時に感じて、それがすごく面白くて。僕らもちょうどその頃、ルーツ・ミュージックから逸脱しはじめた時期だったんですよ。

コヤマ そのライヴで「A MAN FROM THE NEW TOWN」を新曲だって言ってやってたもんね。なんつう曲だ!って(笑)。
JxJx

(笑)そういうところを、みんなが舞台袖で観ながら面白がってくれてたんですよね。そのへんでも、スクービードゥーってバンドの面白さを、またひとつ発見してしまって。スクービー自体、いろんなバンドとも対バンしていってる感じもあって、バンドとしては自分たちというものがありつつ、いろんなところに行ったり来たり出来るような感じでやっているんだろうなっていうので、素晴らしいなって思いましたね。

モーリス 対バンして得るものがあったり、バンドが違う何かを見つけて次の曲作りだったり、ライヴのやり方だったりに反映してきてるっていうのの繰りかえしですよね。そういえば、ウチのダータカ(タカダ"ダータカ"ヒロユキ)がスクービーの影響受けてるんですよ。
スクービー一同 えぇっ!?
JxJx ダータカがライヴ中、その場でくるくる回るようになったんです。ちょいちょい回ってるなあと思いつつ、これは一度確認しなきゃダメだってことでで、「その動きはなんなんだ? YSIGで今までまったくなかった動きだぞ!」って本人に訊いたら「あの、スクービーのジョーくんの」って。
一同 (爆笑)
JxJx つっても、ジョーくんのそれとはだいぶ違うんですけどね(笑)。
モーリス 一人でアツくなってぐるぐる回って、それでいて回ったら回ったで、ベースも外れちゃうし!みたいな(笑)。
ナガイケ 最終的には俺のせいにされたりして(笑)。
モーリス 今回のツアーで、急にその引き出しを開けちゃったんですよ。急に。
コヤマ それは観たいねぇー!(笑)。
ナガイケ 俺がいる時はやらなかったりして(笑)。
JxJx

スクービーのライヴは、とにかくいい演奏をするっていう......ヘタしたら、ただ上手いだけでつまんない方向に行っちゃうかもしれないけど、そうじゃなくてワイルドな方向に持っていってて。ハプニング性みたいなものもあって、ライヴならではの生々しい部分が出てる。だから毎回印象が違うと思うんですよね。すごくグルーヴィな演奏をばっちりキメてくれる、他のバンドにはないスクービードゥーの魅力なんじゃないかと思います。しかも、みんなが見せ場を持ってるんですよ。

モーリス そうなんだよねぇ! ウチのハットリくん(ハットリ"ショーティ"ヤスヒコ)はしゃべらないって見せ場を持ってるけど(笑)。
ナガイケ 俺も来年あたりしゃべらないってのやってみようかな。
JxJx それ、どこからのインスパイアかわかんないって(笑)。
コヤマ ただ調子悪いだけの人に見えるからね(笑)。
── では、スクービーから見て、ライヴバンドとしてのユアソンの魅力ってどんなところにあると思いますか?
MOBY なんかイメージですけど、全員で足並み揃えてバカ騒ぎしてるっていう感覚がありますね。
コヤマ うん。足並み揃えて、足並み揃ってない感じ?(笑)。みんなで一斉に別方向へ突っ走ってるような潔さがあるから、観てて楽しいっすよね。演奏をせーの!ではじめた段階で壊れてるっていうか。
モーリス それはたしかにあるかもですね(笑)。
コヤマ みんなででっかいホースを持って、放水しまくってる感じね。でも、その放水は別に火を消すとかじゃなくて、何の意味もないの。何かブァーッって出てるのすごくね? オレの一番すごくね? って全員が言ってる。
JxJx シュウくん、それ前も言ってたよね(笑)。
コヤマ だから、悪ふざけですよね(笑)。でも、そこがすごくロックンロール的なんですよ。一番最初にせーの!でロックンロールをはじめた人は、たぶんこういう感じだったんじゃないか?って思うよね。

*つづきは、近日リリース予定のiPhone用Appzine(アプリで読む雑誌)『ramblin'』下北沢インディーファンクラブ特集に掲載されます。お楽しみに!

YOUR SONG IS GOOD

YOUR SONG IS GOOD
98年1月結成。サイトウ"JxJx"ジュン(オルガン、ヴォーカル 他)、ヨシザワ"モ~リス"マサトモ(ギター)、シライシコウジ(ギター)、ハットリ"ショ~ティ"ヤスヒコ(トロンボーン)、タカダ"ダ~タカ"ヒロユキ(ベース)、タナカ"ズィ~レイ"レイジ(ドラムス)からなる6人組。激烈で雑多なダンスミュージックを無礼講な演奏でフロアとお茶の間に投下中! 今年3月に待望のニューアルバム『B.A.N.D.』をリリース。先日、ツアーファイナルを日比谷野外音楽堂を成功させた。生田斗真主演の映画『シーサイドモーテル』の音楽を担当した、サウンドトラック・アルバムをリリースしたばかり。
http://www.kakubarhythm.com/
http://www.kakubarhythm.com/ysigblog/


YOUR SONG IS GOOD
『B.A.N.D.』
(NAYUTAWAVE RECORDS)


YOUR SONG IS GOOD
『SEASIDE MOTEL』
(NAYUTAWAVE RECORDS)

SCOOBIE DO

SCOOBIE DO
1995年結成。メンバーはコヤマシュウ(ヴォーカル)、マツキタイジロウ(ギター)、ナガイケジョー(ベース)、オカモト"MOBY"タクヤ(ドラムス)。インディーズでの活動を経て、2002年にメジャー・デビュー。2006年に日比谷野音にて結成10周年記念ライヴを行った後、同年に自身のレーベル、CHAMP RECORDSを設立。ロック、ソウル、ファンクなどの影響を受けたグルーヴィなサウンドと熱いライヴ・パフォーマンスで圧倒的な支持を集める。年間70本以上のライヴを行う屈指のライヴ・バンドである。今年3月にはメジャー在籍時のベスト・アルバム『Road to Funk-a-lismo! -BEST OF SPEEDSTAR YEARS-』を発表。7月7日にはニュー・アルバム『何度も恋をする』をリリースする。
http://www.scoobie-do.com/


SCOOBIE DO
『何度も恋をする』
(CHAMP RECORDS)


SCOOBIE DO
『Road to Funk-a-lismo! -BEST OF SPEEDSTAR YEARS-』
(スピードスター)

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